日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.558 【拡張期血圧と離床のリスク】離床時の血圧に関するQ&A

質問

120/100 mmHg と拡張期血圧のみ高いという時、離床は進めてもよいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

結論からいうと、拡張期血圧だけで判断せずに、脈圧比をみるのがお勧めです。一般的に拡張期血圧が高い場合は、循環血液量が多い、動脈硬化という要因が考えられます。

ただ、拡張期血圧が高いだけで離床のリスクをあれこれ想定するのは難しいと思います。むしろこの患者さんで気になるのは、脈圧比が小さいことです。脈圧比は、収縮期血圧と拡張期血圧を用いた以下の式で求められ、心機能の指標となり、脈圧比の値が、25% 未満は心係数(CI)2.2 以下を示唆するとされており、この患者さんの脈圧比を計算すると、約16.7% と非常に低い数値となっています。

離床のリスク管理としては、心拍出量の低下、臓器低灌流の可能性があることを念頭に、末梢冷感や息切れといったアセスメントと合わせて、慎重に運動負荷を調整することをお勧めします。