日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.544 【食事回数を増やす功罪】栄養と分食に関するQ&A

質問

胃切除後の患者さんで食事量が増えない場合、食事回数を増やすことは有効ですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

結論からいうと、分食はあまりお勧めできません。分食は、胃にかける負担を減らす効果が期待できる一方で、食事の回数が増えると、それだけ患者さんにもスタッフにも負担が増えるからです。食事回数を増やすよりも、基本の食事でカロリーをどう増やすかということを考えましょう。

例えば、プロテインパウダーを食事にかけることや、なるべく脂質の多い食事内容にすることで、少ない量でもカロリー摂取を増やすことができます。

ただ、肝障害の患者さんでは、分食と進めることがあります。肝硬変患者さんは、肝臓でのグリコーゲンの貯蔵量は少ないため、慢性的にエネルギーが欠乏した状態になっています。そのため、一晩寝て翌朝起きると、健常な方が3日間絶食したときと同程度の飢餓状態になり、毎朝ダメージを受けてしまいます。

そこで、就寝前にもう一食軽く夜食をとって、肝臓が夜間にエネルギー不足にならないようにする、夜食療法「Late Evening Snack(LES)」(夜間分割食)を勧めることがあります。食事回数を増やす場合には、疾患によって検討するようにしましょう。