日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.489 【異常歩行から何を考えるか】変形性股関節症に関するQ&A

質問

変形性股関節症で全人工股関節置換術を行った患者さんを担当しています。術後もトレンデレンブルグ歩行が残っているのですが、中殿筋を強化すべきでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

中殿筋はもちろんですが、腰方形筋にも着目すべきと考えます。変形性股関節症に多いトレンデレンブルグ歩行ですが、患側での立脚期に、反対(健側)の骨盤が下制する現象です。教科書的には中殿筋が主な原因とされていることが多く、確かに中殿筋の筋力は重要な要素ではあります。

しかし、歩行や立位で骨盤を支えているのは中殿筋だけではなく、骨盤の上方では、腰方形筋が支えているので、左右の腰方形筋と中殿筋のバランスが重要なのです。実際に、変形性股関節症で長年跛行を呈していた方では、腰方形筋が術後にもうまく使えず、トレンデレンブルグ歩行が残存している場合があります。是非、中殿筋だけではなく、腰方形筋もアセスメントして、必要なアプローチを検討してください。