質問
腰椎術後、数年で腰椎ヘルニアを再発してしまい、 何度も入退院を繰り返す患者さんがいます。 患者さんに聴くと「動作には注意している」と言いますが、 どのような指導を行えば良いのでしょうか。
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
腰痛を訴える患者さんは非常に多く、近年では高齢者にも腰椎手術する機会も増え、周術期の離床管理ができる人材が必要となっています。
まず腰椎ヘルニア再発率に関してですが、1966年から1991年までに発刊された腰椎椎間板ヘルニアに関連した論文
(症例数30以上,平均年齢30歳以上,follow-up率75%以上,最短follow-up期間1年以上,平均follow-up期間2年以上のシステマティックレビュー)
によれば、腰椎椎間板ヘルニア摘出術後の平均6年前後で、4~14%が再手術を要したと報告しています1)。
どのような因子で再発するのかは明確になっていないのが現状ですが、私たち看護師やリハビリスタッフは再発を避けるため、生活動作指導をしていくことは必要になります。
以下に例をあげてみましょう。
①長時間座位(30分以上)の持続を避けること
②片手で持てない重量物(約10kg)は持たないこと
③前屈時は捻じり動作を伴わないようにすること
以上3点は最低限押さえておきたいポイントになります。
また、患者さんの職業を聴取しどのような姿勢や動作が多いのか、把握することも必要です。例えば軽作業で荷物を持ち上げたりすることがあれば、持ち上げ方を指導することも必要です。
① 極力自身の身体に近い場所で持ち上げること
② 背中を丸めるのではなく、腰を落として把持すること
などがポイントになります。
「しっている(理解)」と「している(実行)」に差がある場合がありますので、退院日に口頭で言って指導終了ではなく、数日前から動作を確認しながら確実に指導していくことが大切です。私たちの生活動作指導により不安が増大し生活が縮小しないよう、術後も安心して永続的離床生活を送ってもらえるようアシストしたいものです。
1)Hoffman RM, Wheeler KJ, Deyo RA:Surgery for herniated lumbar discs:A literature synthesis. J Gen Intern Med 1993;8:p487-496
2)曷川元ほか:整形外科と早期離床ポケットマニュアル:2009:p101