日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.434 【息切れを起こす2つの原因に注意!】腎不全患者さんに関するQ&A

質問

腎不全の患者さんはなぜ息切れが起こるのですか?また、息切れが生じたときの離床の注意点について教えてください。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

腎不全の患者さんで息切れが起きやすい原因は、肺水腫と腎性貧血の2つが考えられます。肺水腫については、腎不全により尿量が減少して体水分過剰になると、心負荷が増大します。心負荷の増大により心不全に進展することがあり、心不全によって肺静脈の血液がうっ滞すると、肺に水分が漏れ出して肺水腫を引き起こします。肺水腫になると、肺のガス交換機能が低下して、息切れや呼吸困難感が生じることがあります。

また、腎臓は造血ホルモンであるエリスロポエチンの分泌する働きもあります。エリスロポエチンの減少により赤血球数が少なくなり、酸素供給不足によって動悸や息切れといった症状が出現します。腎不全患者さんの呼吸状態に変化がみられた場合は、血液検査データや画像を確認し、 息切れの原因を予測しましょう。息切れは、患者さんのADLやQOLを低下させ、離床の意欲も低下させるので、離床は負荷の低い活動から開始していきます。腎不全患者さんは、息切れや意欲低下が起こることを前提に、離床の負荷やこまめなアセスメントをしながら進めていきましょう。