日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.430 【直接因子のアセスメントがポイント!】せん妄と離床に関するQ&A

質問

私の施設では、せん妄に対して離床が有効と考え、せん妄患者に積極的な離床を行っています。何か注意する点はありますでしょうか。

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

せん妄患者さんの離床の注意点は、病態を悪化させるリスクがないか、しっかりアセスメントして進めることです。解説していきます。

離床は、せん妄の対策として有用であることがいくつかの研究で示されているので、せん妄患者さんに対する離床を推進していくことは、非常に重要だと思います。一方で、せん妄は意識障害であるため、せん妄発症の背景にAIUEOTIPS(アイウエオチップス)に分類される、直接因子が存在しないかを確認することが前提となります。 直接因子とは、敗血症や低酸素症などの重篤な病態が、脳の機能障害を引き起こし、せん妄の原因となっている場合のことです。

このような全身状態の悪化が、せん妄発症に影響している場合には、早期離床によって病態を悪化させてしまうリスクがあります。せん妄患者に離床を行う場合には、必ず直接因子のアセスメントを行い、その背景に重篤な病態が隠れていないことを確認した上で、離床を進めるようにしましょう。