日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.411 【DVT検出時の離床をどうすべきか】医師に確認すべき2つのポイント

質問

下肢超音波検査でDVTが検出された場合は、離床は控えたほうがよいですか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣

下肢超音波検査で深部静脈血栓症(DVT)が検出された場合は、抗凝固療法を開始しているのであれば安静臥床はせず、医師と相談をして、早期に離床を進めて歩行訓練を実施しましょう。

医師の相談のポイントとしては「重症度」と「血栓の経過」です。DVTの重症度の目安としては、軽症〜中等症の場合は基本的に無症状で経過しますが、筋疲労・下腿が張る・下肢の膨張・浮腫などがみられます。重症の場合は、下肢の膨張が急激に進行する、特有の色調(赤紫色)、緊満痛(触れると痛みが出現する)などの症状が出現します。ひと昔前は、DVTの急性期に歩行などの運動を行うと、肺血栓塞栓症(PTE)が生じると危惧され、ベッド上での安静が推奨されていました。

しかし、抗凝固療法を施行していれば、新たなPTE発症のリスクは増えず、DVTの血栓伸展減少・疼痛の改善などが認められています。よって、DVT悪化防止・患者さんのADL・QOL向上のためにも、早期に離床・歩行を促していきましょう。そして、下肢静脈エコーで血栓の器質化・縮小傾向が確認できたら、下肢の関節運動も取り入れていきます。

基本的に、DVTの悪化を防止するためには、離床や運動の実施が重要です。医師や看護師、セラピストが協力し、離床・運動する機会を増やす取り組みをしていきましょう。