日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

Q&A Vol.188 【気管偏位で病態がわかる!】胸部レントゲンに関するQ&A

質問

胸部レントゲンにおいて、気管はどのくらい偏位したものを異常と判断するのでしょうか?

回答

回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣

偏位についての異常という基準はありませんので、以前のX線画像と比較して判断することが重要です。

正常であれば気管はほぼ正中を走行します。気管の偏位には様々な原因がありますが、大別すると「何かに圧迫されているか」、「何かに引っ張られているか」のどちらかです。

2つの画像はどちらも気管が右に偏位していますが、その原因が異なります。

無気肺は肺の空気が抜けた状態となるため、気管は病変側に引っ張られます(画像a)。

胸水の場合は、胸腔に通常よりも過剰な水が溜まるため、気管は病変とは反対側に押されて偏位します(画像 b)

この原因によって、次にとるべき行動が異なります。たとえば、胸水による圧迫ならば、胸腔穿刺などが必要になり、無気肺ならば、適切に体位変換や離床を行う必要があるかもしれません。

このように、胸部レントゲンの異常を見るときには、気管偏位に注目し、原因を予測して離床やケアの方法を検討してみてください。