日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【フレイル予防の秘訣は?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「フレイル予防の秘訣はマグネシウム?」という内容を紹介します。

なにやら、風が吹けば桶屋が儲かるみたいなタイトルのようにも思われるかもしれませんが、実はマグネシウムと筋肉ってすごく関係しているんです。マグネシウムは、筋肉の運動に必要なエネルギー(ATP)を生み出すために重要な働きをします。さらにマグネシウムは、筋肉の弛緩に関係しているともいわれます。そのためマグネシウムが不足していると、筋肉がこわばりやすかったりします。研究によっては、マグネシウムが筋肉形成にも重要と報告されてます。マグネシウムと筋肉は複雑ですが、密接な関係にあるんです。なんかエッチな関係みたいですね(笑)。

でも実際のところどうなんでしょうか。スペインのStruijkさん達は、スペインの60歳以上の女性を対象に、マグネシウム摂取とフレイルの関係を調査しました。マグネシウムの摂取はアンケートの自己記入式です。そしてなんとこの研究は1984年から2010年までアンケートが実施されたようです。フレイルの有無は1992年から2018年まで4年毎に実施されました。中央値で16年の追跡調査です。

そんな長期にわたった研究の結果は、マグネシウムを多く摂取していた女性の方がフレイルになるリスクが低かったようです。生活スタイルの違いなども多変量解析して調整してますが、やはりマグネシウムとフレイルは関係していたとのこと。マグネシウムって大事なんですね。

ただ、高齢の方、腎機能の悪い方などはマグネシウムを摂取しすぎると、高マグネシウム血症のリスクもあるので摂りすぎには注意が必要です。最近うちの祖母が、この記事を楽しみにみているようなので予め注意しときます。食べ物も運動もなんでもバランスですよ!マグネシウムとフレイルが関係する機序について、もっと研究が必要ですね。

Total magnesium intake and risk of frailty in older women
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jcsm.13450