日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【リハビリの春?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「リハビリの春?」という内容を紹介します。皆さん、リハビリの春をご存知でしょうか?

???

間違えました。リハビリのHALでした。HAL(Cyberdyne社)はHybrid Assistive Limbの略で、いわゆるロボットスーツですね。

HALは人が動こうとした際に流れる、微弱な生体電位信号をセンサーが感知して、各関節のモーターを稼働させて、立ち座りや歩行動作をアシストする自立動作支援ロボットです。HALは、人が動こうとする際に皮膚表面に流れる微弱な生体電位信号を、身体に取り付けたセンサーが感知し、 コンピュータ制御によって各関節のモーターを適切に稼働させて装着者をアシストします。

このHALは装着するのが大変だったり、どれくらい効果があるのか、さまざまな研究が行われていますが、今回は脳卒中後のHALの使用に関する報告です。マレーシアのNawiさん達は、20人の脳卒中後の患者を対象としてHALの効果を検証しました。無作為化比較試験ではなく、観察研究のようですね。HAL使用群10人、対象群10人のようです。

対象群では1週間に5日間、2時間のリハビリテーションを4週間継続しました。HALを使用した介入群では1週間に5日間、1時間のリハビリテーションに1時間のHALを使用したリハビリテーションを、4週間継続しました。

4週間後の大腿周囲長の測定では、HALを使用した群で大腿の萎縮を予防できたようです。特に麻痺側で萎縮予防効果が大きかったようです。脳卒中後のロボットスーツを用いたリハビリテーションは効果がありそうですね。

昔、使用した時は装着が大変だった記憶があるのですが、ちょっとずつ技術も改良されてきているのでしょうか。気軽にロボットスーツが装着できるようになればまさにリハビリの春ですね。

Improvements of mid-thigh circumferences following robotic rehabilitation in hemiparetic stroke patients
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/pri.2091