日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【EMSで血流改善!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「EMSで血流改善!?」という内容を紹介します。

皆さん、EMSを使ってますでしょうか?EMSはElectric Muscle Stimulation(神経筋電気刺激法)の略で、電気の刺激で他動的にリハビリテーションを行う機器です。この機器を使うことで筋萎縮の予防、筋力低下の改善などさまざまな報告がなされています。今回は、このEMSで血流も改善するという報告がされたので紹介します。

日本の明治大学のKatagiriさん達は、健常な成人を対象にEMSを用いて血流や酸素消費量などを調べました。血流や酸素消費量はnear-infrared spectroscopy (DCS-NIRS)という装置を用いました。24人の成人患者が対象となり、EMSでの受動的な収縮と、自己の能動的な収縮を同程度させて①組織血流インデックス②酸素消費量③酸素代謝率などを比較しました。

同程度の収縮でEMSの方が②酸素消費量③酸素代謝率が高かったようです。経時的には①組織血流インデックス③酸素代謝率の低下がゆっくりで高く遷延したようです。つまり、同程度の運動と比較すると、EMSの方が組織灌流をよくして末梢に酸素を運搬して好気性代謝に寄与したようです。

少し難しい内容ですが、EMSの方が従来の運動に比べて血流をよくする可能性が示唆されました。EMSもまだまだいろんなエビデンスがでてきますね。医工学連携で、EMSもどんどん進化してもっとリハビリに応用できたらいいですね。まさに多職種連携です!

Differential changes in blood flow and oxygen utilization in active muscles between voluntary exercise and electrical muscle stimulation in young adults
https://journals.physiology.org/doi/abs/10.1152/japplphysiol.00863.2023