日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【筋エコーを実践しよう!】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「筋エコーを実践しよう!」を紹介します。なにやら最近、超音波がはやっているらしい、という噂をきいたことがありますでしょうか。最近多くの施設で、筋肉を超音波で測定する筋エコーがブームになりつつあります。これは急性期のみならず、リハビリ病院、慢性期、在宅などさまざまな分野で行われてきています。筋萎縮の評価、栄養状態の評価に、筋エコーが有用であることが分かってきたため近年注目を集めています。

その中で、ICUでの重症患者における、筋エコーに関するスコーピングレビュー論文が報告されました。ブラジルのLimaさん達のClinical Nutritionにおける報告です。

さて、ICUでの筋エコーはどのように行うのでしょうか。対象となった研究は107件で1番報告が多かった国はオーストラリアが12件、次いで2番目がブラジルの11件、3番目がイギリスの10件、4番目がアメリカの9件でした。そして、なんとなんと5番目は日本とイタリアの8件と、日本も筋エコーの先進国があることが明らかとなりました。すごい!

筋エコーはどのように行われているのでしょうか。最も多かった測定部位は大腿直筋の筋厚で67.9%を占めていました。2番目に多かったのが大腿直筋の筋断面積で54.3%で、3番目に多かったのが中間広筋の筋厚で40.2%でした。やはり大腿は、筋エコーにおける測定部位のゴールドスタンダードといえそうです。

測定体位は、仰臥位が65.4%と一般的でした。四肢の測定であれば両側を測定しているのが35.5%、右側のみを測定しいているのが29.9%、左側のみを測定しているのが1.8%と、両側か右側を測定していることが多いようです。測定回数は3回が最も一般的で51.4%、2回が16.8%、1回が1.8%と3回測定している研究が最も多かったようです。

自分の意見としても、やはり3回測定してその中央値か平均値を用いた方が正確だと思います。そして、多くの研究が各研究内で筋エコーの測定の再現性などを評価しているようですが、やはり筋エコーは測定者の手技に影響されるので、その正確性などは研究によって異なったようです。筋エコーはトレーニングが少し必要だといえます。

今後筋エコーが臨床でも主流になる日がくるかもしれません。まさに医療の世界は日進月歩ですね。

Ultrasound for measurement of skeletal muscle mass quantity and muscle composition/architecture in critically ill patients: A scoping review on studies’ aims, methods, and findings
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0261561423003618?via%3Dihub

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