日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【加齢アノレキシアを知っていますか?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「加齢アノレキシアを知っていますか?」を紹介します。食欲って大事ですよね。健康な証拠です。自分はパフェも食べたいし、ポテトも食べたいし、ラーメンも食べたいです。食欲だけには自信があります(笑)

こんな旺盛な食欲も、年齢を重ねると低下してくるようです。この状態を加齢アノレキシア(Anorexia of Aging)というようです。加齢アノレキシアって私は初めて聞きました。アノレキシアというとAnorexia Nervosa(神経性食思不振症)を思い浮かべますが、加齢アノレキシアというのもあるのですね。

ブラジルのAprahamianさん達は、加齢アノレキシアについてアンケート調査を行いました。1545人の医療従事者対象に、国際アンケート調査が行われたようです。多くの医療従事者(56.8%)は、加齢アノレキシアは、食欲低下または摂取量低下と認識しているようです。そして認知症や嚥下機能障害がそのリスクファクターと考えられており、対策としては補助栄養食品を含む栄養サポート、運動、嚥下機能改善、家族による支えなどが大事なようです。

病院では66.7%の医療従事者が外来で食欲は評価するが、体重まで測定しているのは41.5%、Mini-Nutritional Assessment Short Formが39%で使用されているようですが、29.4%は評価ツールを使用していないようです。アンケート調査で、加齢アノレキシアに対するエビデンスの不足が、加齢アノレキシアへの治療介入の障害になっていると49.2%の方は考えているようです。確かに、食べたくない高齢者にどのように対応するかって難しい問題ですよね。

フィーディングチューブを挿入してまで栄養を投与するのがよいのか、摂取を励行して頑張ってとってもらうのがよいのか、はたまた、そこまで無理しない方がいいのか、加齢アノレキシアは今後注目を集めそうな分野です。

是非、日本からもいろんなエビデンスを発信してきたいですね。元気にご飯を食べて離床できるように、離床栄養をすすめていきましょう!

Anorexia of aging: An international assessment of healthcare providers’ knowledge and practice gaps
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/jcsm.13355