日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【ABCDEFバンドルこそがPICSを予防する!?】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「ABCDEFバンドルこそがPICSを予防する!?」を紹介します。皆さんABCDEFバンドル行っていますか?

ABCDEFバンドルってそもそもなんですかって人もいると思います。ABCDEFバンドルとは以下の略語になります。

A: Assess pain 疼痛評価と管理を行う
B: Both SAT and SBT 覚醒・自発呼吸テスト
C: Choice of drugs 適切な薬剤の選択
D: Delirium せん妄の管理
E: Early mobility 早期離床をする
F: Family 家族と治療する

つまり、これらを全て実施することが、重症患者さんの予後改善に重要といわれています。しかし、このABCDEFバンドルが、集中治療後症候群(PICS)を改善するかまでは分かっていませんでした。それをなんと、日本の川上先生のグループが明らかにしてくれました!

さて今回はCrit Care Medに2023年6月に掲載された以下の論文になります。
Evaluation of the Impact of ABCDEF Bundle Compliance Rates on Postintensive Care Syndrome: A Secondary Analysis Study

日本の16箇所のICUで行われた研究です。対象となった患者はICUで、48時間以上人工呼吸管理されると予想された患者さんです。ABCDEFバンドルの順守率と、死亡率やPICSとの関係を調べたようです。ABCDEFバンドルの順守率は69.8%だったようです。6ヵ月後の死亡率に関しては、死亡した患者さんのグループでABCDEFバンドルの順守率が低かったようです(66.6% vs 71.6%, p = 0.031)。

しかし、PICSの発症群、非発症群を比較するとABCDEFバンドルの順守率に差はなかったようです (71.3% and 69.9%, p = 0.61). しかし、大きな病院のような一部の施設に限って解析をしなおすと、ABCDEFバンドルの順守率はPICSの発症低下と関係していたようです (r = –0.84, R2 = 0.71, p = 0.035) 。つまり、ABCDEFバンドルを正しく順守すれば、死亡率低下やPICS発症予防につながるという報告です。

やはりABCDEFバンドルは重要ですね!

ABCDEFバンドルにはEarly mobilityつまり早期離床が含まれます。早期離床もお忘れなく!

Evaluation of the Impact of ABCDEF Bundle Compliance Rates on Postintensive Care Syndrome: A Secondary Analysis Study
https://journals.lww.com/ccmjournal/Fulltext/9900/Evaluation_of_the_Impact_of_ABCDEF_Bundle.176.aspx

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