日本離床学会 - 早期離床・看護・リハビリテーション

【あの先生のメタアナリシス!】Dr中西の離床面白エビデンス

人気コーナー「Dr中西の離床面白エビデンス」の最新情報をお届けします!
このコーナーでは、当会の医師部会の中西医師が“これは面白い”という、離床にまつわるエビデンスを紹介。
中西節でわかりやすく、楽しく、ユーモアを交えて教えてくれます。

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みなさんこんにちは。筋萎縮ゼロプロジェクトの中西です。

今回は「メタアナリシスでEMSが重症患者に有効!?」を紹介します。EMSというのはElectrical Muscle Stimulationの略で、神経筋電気刺激療法というのは電気の刺激を用いた他動的なリハビリです。重症患者におけるEMSについては賛否両論ありましたが、Crit Care Medという国際雑誌にメタアナリシスの結果が掲載されましたので、世界的にEMSが有効であるという結論で医療は進んでいきそうです。

このメタアナリシスは日本の中西が報告されました。中西先生!?あのDr中西の離床面白エビデンス!?そう、つまり自分です。。。手前味噌ですみません(汗)

このメタアナリシスでは18件の無作為化比較試験を解析してその効果が検討されました。主要評価項目はICU-AWへの影響、有害事象。副次評価項目は筋萎縮、筋力、死亡率、入院期間、長期予後です。

EMSはICU-AWを有意に低下させました (RR 0.48; 95% CI, 0.32–0.72)。EMSは生命にかかわるような有害事象は報告されておりませんでしたが、電気の刺激によるチクチクとした痛みは有意ではないものの、ある程度認めたようです(RR, 6.87; 95% CI, 0.84–56.50)。また筋萎縮は有意に予防でき(MD: –10.01; 95% CI, –15.54 to –4.48))、筋力低下も改善したようです(SMD: 0.43; 95% CI, 0.19–0.68)。死亡率、入院期間には有意差はなかったようです。

長期予後に関しては有意差がなかったものの、1件の研究しか報告しておらず、今後神経筋電気刺激療法が重症患者の長期予後改善に有効であるかどうかの無作為化比較試験などが必要とされています。なんて素晴らしいメタアナリシスでしょうか!

これからはDr中西の離床面白エビデンスも、真面目に読んでやろうかって気になってくれればうれしいです。。。楽しみながら最新のエビデンスを学んでいきましょう!

Effect of Neuromuscular Electrical Stimulation in Patients With Critical Illness: An Updated Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
https://journals.lww.com/ccmjournal/Fulltext/9900/Effect_of_Neuromuscular_Electrical_Stimulation_in.156.aspx