脳卒中患者に起こる膝痛は、変形性膝関節症や筋・腱の炎症が原因といわれますが、それ以外にも驚くべき原因が影響している可能性があると報告がありました。
今回紹介する論文は、脳卒中患者さんに起こる難治性疼痛である、神経学的異所性骨化（Neurological heterotopic ossification：NHO）をレビューしています。NHOは脳卒中など中枢神経損傷に続いて、股関節や膝関節周囲の筋肉に骨形成が起こるものです。異所性に骨形成がされると、神経を刺激して痛みを起こし、拘縮や運動障害の原因となります。NHOは、外科治療や放射線治療に有効性が認められていますが、難治性でADLを著しく低下させます。脳卒中患者さんが改善しない痛みを訴える場合は、NHOの可能性を疑い、画像評価など専門科に相談することが重要です。
下記原典では、NHOが引き起こされるメカニズムと、治療戦略についてわかりやすくまとめられています。是非、ご覧ください。
Ker Rui Wong et al. Neurological heterotopic ossification: novel mechanisms, prognostic biomarkers and prophylactic therapies. Bone Res. 2020 Dec 9;8(1):42.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7725771/
この情報が皆さんの診療に役立つことを願っております。
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