質問
前立腺がんの患者さんで、関節可動域訓練時に四肢の痛みを訴えるのですが、がん性疼痛によるものでしょうか?脳にも転移があります。
回答
脳転移が認められる前立腺がんの患者さんが、関節可動域訓練時に四肢の痛みを訴える場合、その痛みは恐らく骨転移によるものと考えられます。
前立腺がんは骨転移を起こしやすいがんのひとつです。骨転移は、しばしば前立腺がんの原病巣に近い骨盤骨や腰椎から始まり、肋骨、頭蓋骨、上腕骨、大腿骨などへと広がる傾向がみられます。骨転移は病的骨折のリスクとなり、腰椎・胸椎への骨転移は、離床によって麻痺が起こるリスクもあります。
通常は離床の指示が出る前に、骨転移の部位は医師から共有されますが、撮影部位の限定により、四肢遠位部の評価が不十分な場合や、離床が開始されてから骨転移の範囲が広がった場合、安静時には痛みが出ずに、関節運動時に痛みを伴う場合などもあります。関節可動域訓練時に四肢の痛みが認められたら、画像診断による評価が必要なので、主治医に関節運動時に痛みが出現することを共有しましょう。
離床においては、脊椎への負担がかかりにくい起き上がり動作の工夫や、移乗時・移動時の下肢への荷重制限が必要となるケースもあります。四肢への荷重、運動範囲について、主治医を含めたチームで検討しましょう。
[がん患者さんの離床のリスク管理を学びたい方は]
3月19日(火) 19:00~21:00 ※2週間見逃し受講期間有り
離床・リハビリテーションにおける 臨床リスク管理 がん患者の離床とリスク管理
【講師】櫻木 聡 先生
https://www.rishou.org/seminar/theory/r225-2024#/
[離床のQ&Aを書籍で学びたい方は]
離床を10倍進めるための活きたQ&A
https://www.rishou.org/publication/qa-series-1#/