質問
エコーレポートで「心室の動きに過収縮がみられる」と書いてある患者さんがいました。このような場合、離床を始める時は何に注意すればよいですか?
回答
左室駆出率(EF)>70%の場合、過剰収縮(hyperkinetic)と表記されます。大動脈弁閉鎖不全症のように左室内への血液逆流によって左室拡張期圧が高まり、多量の血液を拍出する代償反応として、hyperkineticが出現するケースが多くみられます。
hyperkineticを起こす疾患で、特に注意するべきは大動脈弁狭窄症(AS)です。ASは、大動脈弁の狭窄により左室心筋の過剰収縮が繰り返されて、求心性心肥大を引き起こし、左室内腔が狭くなる病態です。EFが正常(normal)〜過剰収縮(hyperkinetic)で心臓の強さが不足してないように見えても、実際の一回拍出量(SV)や心拍出量(CO)は減少している場合があります。それによって、AS三徴候である失神・狭心発作・心不全症状が出現する場合があるため、離床前にこれらの症状がないか、EFの数値だけを判断しないように、しっかりチェックするようにしましょう。
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