質問
脳卒中患者さんの離床をする時、収縮期血圧と拡張期血圧のどちらが重要ですか?
回答
脳卒中の中でも、脳出血やくも膜下出血など「出血性病変」に関しては、収縮期血圧の管理が最も重要になります。その理由は、一般的に高血圧は脳還流圧が上昇し、血腫が増大する可能性があるからです。実際に、急性期脳出血患者の血圧上昇は、死亡や機能障害のリスクに関連し(文献1)、収縮期血圧が10 mmHg上昇するごとに死亡リスクが約20%増加するという報告もあります(文献2)。
一方で脳梗塞は「虚血性病変」なので拡張期血圧に注意が必要です。その理由は、拡張期血圧は脳血流をみるために必要な、平均血圧に関わりがあるためです。脳梗塞急性期には脳循環自動調節能が破綻しているため、血圧依存性に脳血流が変動します。この時期の血圧低下は、ペナンブラ領域への局所脳血流低下により、病巣の拡大を生じる可能性があるため注意が必要です。
文献1:Willmot M,et al. High blood pressure in acute stroke and subsequent outcome: a systematic review. Hypertension. 2004,43: 18–24.
文献2:Vemmos KN, et al. U-shaped relationship between mortalityand admission blood pressure in patients with acute stroke. J Intern Med. 2004255: 257–265.
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