質問
30度ヘッドアップが最適な嚥下姿勢だと思っているのですが、デメリットやリスクはあるのでしょうか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床学会 講師陣
あります。30度ヘッドアップのデメリットは「自己摂取が難しい」「頸部後屈位になりやすい」の2つです。やってみるとわかりますが、30度ヘッドアップでは自分で食べ物を認識しづらいので、介助下でない限り自己摂取は難しいです。そして頸部の位置が不安定になることで、誤嚥するリスクが高まります。これは30度ヘッドアップでは頭頸部の安定性が低下し、頸部後屈位になりやすくなるためです。頸部後屈位となることで気管に食べ物が入りやすくなり、誤嚥につながります。
反対に30度ヘッドアップのメリットは「嚥下機能が低下している方でも摂取しやすい」「気管に食べ物が入りにくい(誤嚥しにくい)」の2つがあります。30度ヘッドアップで頸部後屈位では前述の通り誤嚥しやすいですが、頸部の位置調整がしっかりできていれば誤嚥リスクを限りなく減らすことができます。加えて食べ物を咽頭まで送り込む口腔期をサポートしてくれるので、自己摂取が難しいかつ嚥下機能が低下している方でも摂取しやすい姿勢となります。
「嚥下障害のある患者さんはみんな30度ヘッドアップ」と決めずに、対象者を見極め、頸部前屈位となるよう枕やクッションを活用して姿勢調整しましょう。
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