質問
脳出血後の患者さんで、気分が乗らず、促さないと離床が進まない方いて困っています。原因がアパシーかうつかの鑑別が難しいのですが、見分けるコツはありますか?
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
アパシー(無気力)とうつは、どちらも脳卒中後に起こる障害ですが、よく観察すると違いがあります。
アパシーは前頭前野の障害で起こるもので、意欲が低下して行動が起こせない状態です。
本人は自覚がないことが多く、気分が落ち込んでいるわけではありません。
一方でうつの場合は、気分が沈んでいる状態です。本人は落ち込んでいることを自覚していて、その状態に無力感を感じ、苛立ちや焦りを覚えることがあります。
両者を見極める方法として、離床や動作を促した際に、イライラするような反応がある場合は、うつの可能性が高いと考えます。
また、病巣が前頭葉の場合はアパシーを疑う根拠となります。
うつの場合には抗うつ薬により改善が得られることがありますが、アパシーでは有効な治療法がありません。
生活のリズムを整え、決まった時間に声掛けをして動作を促すなど、外的な刺激が必要となります。
「あの人はやる気がない」と決めつけず、一歩踏み込んだアセスメントを心がけてください。