質問
滴状心では心臓が拡張できないように見えるのですが、実際に心機能は低下するのでしょうか。
回答
回答者:曷川 元、他 日本離床研究会 講師陣
結論からいうと、滴状心でも心機能は保たれます。
滴状心とは、肺に過剰に溜まった空気により心臓が押され、大動脈以下の心臓がほっそり“滴”のように見える所見で、慢性呼吸不全(COPD)を疑います。
確かにレントゲン上は心臓が圧迫されているので、心臓の動きに影響を与えるように見えますが、実際は滴状心が原因で心機能が低下することはほとんどありません。
ただし、左室収縮能は問題なくても、拡張障害から拡張性心不全(HFpEF)を将来的に起こすリスクを指摘する報告もあるため、離床の際の循環不全の症状には注意が必要です。
ちなみに、細かく滴状心を読む際には、心胸郭比(CTR)35%未満が滴状心の目安となるので、参考にしてみてください。